皐月賞(2023年)検討

2023年の牡馬クラシックレースの第1弾。
出馬表を見渡すと、かなりの混戦ムード。
これは予想し甲斐がありそうだ。
(当たるかどうかは別にして。。)

何が一番人気になるか微妙な雰囲気だが、
おそらく、ファントムシーフ、フリームファクシ、ソールオリエンス、べラジオオペラ、
辺りが上位人気と予想する。

無敗の馬はキャリアが浅い、ステップレースを勝った馬は過去に他の馬に負けている、など、
力関係が分かりづらい今回のレース。

以下、いくつかの視点から考察してみたい。

<能力>

すごく分かりづらいというのが正直なところ。

2歳時にG1朝日杯FSで2着のダノンタッチダウン。
その前のG2デイリー杯でも2着と、実績は充分。
だが、その両レースで先着を許した2頭とも、3歳になって出走したレースは共に着外。
となると、この馬の能力も正直なところ怪しい。

同じく2歳G1ホープフルSで2着のトップナイフ。
トライアルのG2弥生賞でも2着と、例年の傾向からいけば本番でも好走できそうな実績。
ただ、後述するが弥生賞のレベルが少し怪しく、この馬の能力も3歳世代上位かは怪しい。

2歳G1ホープフルSからは、もう一頭、4着のファントムシーフが出走する。
これは3歳になってG3共同通信杯を制した。
そして、そのG3共同通信杯の4着馬は、後のG2弥生賞の勝ち馬であるタスティエーラだったことからも、
2歳→3歳の成長で強くなったと考えても良さそう。

よって、単純な対戦成績だけで考えると、
 2歳時:トップナイフ   > ファントムシーフ
 3歳時:ファントムシーフ > (タスティエーラ) >トップナイフ
となる。

また、そのG3共同通信杯で2着に入ったのは出遅れたにも関わらず、
道中で先頭に立って粘ったタッチウッド。
この馬も新馬→G3共同通信杯とキャリア2戦ながら共に強いレースを見せており、
ロスの大きかった前走の内容を踏まえると、ファントムシーフと互角レベルまでありそう。

トライアルG2弥生賞で1着となったのはタスティエーラ。
だがこの馬は、G2弥生賞の前は、G3共同通信杯で4着とファントムシーフに敗れている。

トライアルG2弥生賞の3着であるワンダイレクトは、
その前にオープン特別である若駒Sでマイネルラウレアに敗れての2着。

ここから、弥生賞そのもののレースレベルが怪しいと思えてくる。

もう一つのトライアルG2スプリングSで1着となったのはべラジオオペラ。
この馬は、新馬→500万下→G2と3連勝しており、まだ底を見せていないが、
G2スプリングSには、2歳G1の上位馬が出走していなかったため、それらの馬との力関係が見えていない。
ただ、G2デイリー杯でダノンタッチダウンに勝ったオールパルフェが7着と着外になったことからも、
その点で、スプリングSのメンバーレベルは低くなかったとも取れる。

そしてG2スプリングSの2着馬ホウオウビスケッツは、
こちらも新馬→500万下と連勝からのG2スプリングSで2着。

この馬も2歳G2勝ち馬のオールパルフェより上位に来ており、
3歳重賞の上位馬 > 2歳重賞の上位馬 とも考えても良さそう。

※なお、2歳G2デイリー杯の勝ち馬オールパルフェは、
  2歳G2デイリー杯:1着
  2歳G1朝日杯:6着
  3歳G2スプリングS:7着
 となっており、
 2歳G2デイリー杯がフロックだった可能性はあるものの、
 レースレベルを測る指標として使えそうな馬である。

あとは、2戦2勝の馬が2頭いる。
ソールオリエンスが新馬→G3京成杯と連勝中。
新馬戦はクビ差と僅差だったが、G3京成杯は2.5馬身差の圧勝。
底を見せていない怖さがある。
もう一頭の無敗馬は、新馬→若駒Sと連勝のマイネルラウレア。
こちらは2戦とも頭差、ハナ差と僅差勝ちであり、さすがにG1皐月賞では苦しそう。

もう一頭あげるなら、G3きさらぎ賞の勝ち馬、フリームファクシ。
新馬戦こそ2着に敗れたものの、以降は未勝利→500万下→G3きさらぎ賞と3連勝。
他の実績馬との対戦が無いためレースレベルが気になるが、
こちらも未知の魅力アリ。

3歳になってのレース結果から考えると、
 ぺラジオオペラ > ホウオウビスケッツ ≒ ファントムシーフ ≒ タッチウッド > ダノンタッチダウン ≒ タスティエーラ ≒ トップナイフ
といった序列に、
 無敗馬:ソールオリエンス
 3連勝:フリームファクシ
がどう食い込めるかといったところか。

<血統>

実はこのレースは血統的な特徴が出にくい。

過去10年で2勝以上しているのは、ディープインパクト(3勝)のみ。
ただ、勝率8.8%、複勝率20.6%と、率で考えるとあまり強調できる数字ではない。

キングカメハメハ系も、キングカメハメハ産駒が1勝、ロードカナロア産駒が1勝と、
こちらも率で考えるとあまり強調できない。

全体の傾向としては、欧州の重めの血統の数字が良いように見える。

今年はディープインパクト産駒が出走していないため、種牡馬は例年になく散っている。

有力どころでは、ファントムシーフが父:ハービンジャー、母父:メダグリアロード(サドラーズウェルズ系)と、
欧州色の強い血統であり、このレースに向きそうにも見える。

ただ、過去10年で3着以内に入った馬は、全てサンデーサイレンスの血が入っているが、
なんとファントムシーフにはサンデーサイレンスの血が入っておらず、ここは大きなマイナスに見えてくる。

サンデーサイレンスが入っていて、ある程度の欧州の血が入っている馬となると、一気に対象が拡がってくる。

目につくところでは、まずタスティエーラ。
父:サトノクラウン(その父:マルジュ=欧州系)、母父:マンハッタンカフェと欧州+サンデーの組み合わせ。

同じくべラジオオペラ。
父:ロードカナロア、母父:ハービンジャーだが、母母父:サンデーサイレンスと、12.5%がサンデー。

父:サンデーの血アリ、母父:欧州系なら、
フリームファクシ、ソールオリエンス、ダノンタッチダウン、辺りが該当する。

また、欧州色がやや薄いが、タッチウッドはサンデーサイレンスの18.75%となる。
サンプルが少ないが、連対実績のあるドゥラメンテ産駒(2頭出走して2着1回)で面白い。

逆に、マイナス要素の多そうな血統は、
サンデーサイレンスの入っていない、トップナイフ(父:デクラレーションオブウォー)。
そして皐月賞で(というよりクラシックで)全く実績の無いダート寄り血統のホウオウビスケッツ(父:マインドユアビスケッツ)。

<展開>

このレースは先行勢で決まる場合が多いが、かといって逃げ馬の勝利はほとんど無い。
また、稀に先行馬総崩れの差し差しで決まる年もある。
※例えば、アンライバルドが勝利した2009年の皐月賞。
 次走ダービーで1着、2着となるロジユニヴァース、リーチザクラウンも大敗する前崩れとなった。

そのため、まず展開をどう読むかだが、、
今年は逃げ馬が少なく、前崩れにはならないと見た。
かといって、後方一気で勝利してきた馬も少なく、
有力馬は全体的に前目の位置取りで進めるのではないだろうか。

逃げるのは、近2走続けて逃げているグラニットか。
逃げて好走歴のあるトップナイフ、ホウオウビスケッツや、
前走で抑えきれなかったタッチウッド、前走で先行して快勝しているフリームファクシ、ファントムシーフも
比較的前に行きそうだが、競ってまでハナには行かないだろう。
最内を引いたソールオリエンスは、外から来られて少し位置を下げると見る。
外目の枠を引いたべラジオオペラ、タスティエーラも中団を追走か。

今年の有力馬は切れる脚を使うタイプは少なく、
全体的に、ある程度、早めの動き出しが予想される。
コーナーで外を回ってしまうとコースロスが大きく、
かといって、内にいては馬群を捌けずに脚を余すリスクがある。
となれば、理想は最終コーナーで先行集団の外目の位置にいることだろうか。

中山2000m、外を走るとコースロスが大きく、
1コーナー時点の隊列でそのまま最終コーナーまで推移しそう。

となれば、枠の並びから、フリームファクシ、ファントムシーフ、
トップナイフ、ホウオウビスケッツ、タッチウッド辺りがその位置にいそう。

このレースは外枠の成績も良く、外枠の割引は必要なさそうなので、
有力どころでは上記5頭が良い位置にいそう。

あとは、べラジオオペラ、タスティエーラが、更に外からそれらをねじ伏せることができるか。
ソールオリエンスは、馬群がバラけてインを捌けるかどうか。流石に外を回すと苦しそうだ。

<人気妙味>

上位人気馬が割れていて、どれから勝っても妙味アリとも妙味ナシとも言えそう。

強いて挙げるなら、2戦2勝で一線級と当たっていないソールオリエンスが妙味薄。
(横山武騎手が、べラジオオペラでなくこちらを選択した影響もあるだろう)

あとは、G1ホープフルS+G2弥生賞で2着のトップナイフが実績の割に人気薄。
イマイチ強さを感じられないが、この脚質と安定感を考えれば悪くない。

あとは、王道ローテのG2弥生賞勝ち馬タスティエーラ、
G1朝日杯2着の単勝10倍越えは美味しい気もする。

そして、単騎逃げ濃厚のグラニットがなんとほぼ最低人気。
前走もそこまで差が無かっただけに、ちょっと食指が動いてしまう。

<結論>

・本命:タッチウッド
・相手:ファントムシーフ、タスティエーラ、フリームファクシ、べラジオオペラ、グラニット

近年、好走実績が多い共同通信杯からの参戦と、
相性が良さそうなドゥラメンテ・サンデーの血統。
特に、共同通信杯の2着は、出遅れ+道中押し上げからの粘り込みと、
決してスムーズな競馬ではなく、スムーズだったら勝っていた可能性も高い。
そして、あの粘り強い脚質は、東京よりも中山向きに見える。
ファントムシーフとの逆転は可能と見た。

相手は、同じく共同通信杯から参戦のファントムシーフ、成長力でトップナイフを逆転済みと見た。
そして王道ローテ弥生賞勝ち馬のタスティエーラ、相手関係に疑問も3連勝+鞍上レーンのフリームファクシ。
大物感アリのべラジオオペラはアッサリも有りそう。
そして単騎逃げ濃厚なグラニット。流石に1着は厳しそうだが、後ろがもたつくなら好走チャンスか。

他の有力どころでは、
ソールオリエンスは最内枠が不利に働きそう、
トップナイフ、ホウオウビスケッツは血統的に微妙、
ダノンタッチダウンは朝日杯の相手関係とローテに疑問、
として今回は外して買う。

近年稀に見る混戦ムードで相馬眼、馬券力が問われるレース。

ここを的中させることができれば、この世代のレースも引き続き当てていけそうだ。

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