ダービー(2023年)検討
ついにこの日がやってきた。
世代の頂点を決めるレース、ダービー。
先週のオークスは、下馬評通りの強さを見せて圧勝した。
今週のダービーも、圧倒的人気の皐月賞馬がおり、先週と同じような圧勝劇が見れるのか、
それとも先週とは違った番狂わせが起こるのか。
以下、いくつかの視点から考察してみたい。
<能力>
まずは皐月賞の勝ち馬、ソールオリエンス。
新馬戦→G3京成杯→G1皐月賞と、相手を強化しながら3連勝しており、
能力は世代トップクラスなのは疑う余地は無い。
皐月賞で2着のタスティエーラは、G2弥生賞を勝って皐月賞は強い内容の2着。
特に、皐月賞は敗れはしたものの、先行して残ったのはこの馬だけ。
内容的にはこの馬が一番強かったという声もあり、これもトップ候補の一頭。
皐月賞で3着のファントムシーフは、G3共同通信杯を勝利して、皐月賞では一番人気で3着。
皐月賞では上位2頭に少し差をつけられた3着であったが、元々、中山コースより東京コース向きと言われていた馬。
こちらも巻き返しが期待される一頭。
皐月賞組でもう一頭挙げるなら、5着のショウナンバシット。
2着のタスティエーラを除けば、外を回った追い込み勢が上位を独占する中で、
内を追走して伸びて来たのがこの馬。
1~3着馬とは少し差を付けられたが、能力的にはそれほど差がないかもしれない。
別路線組からは、G2青葉賞の勝ち馬スキルヴィングと、2歳G1ホープフルSの勝ち馬ドゥラエレーデを挙げたい。
スキルヴィングは、新馬戦こそ2着に敗れたものの、未勝利→1勝クラス→G2青葉賞と3連勝。
いずれも圧倒的人気を背負いながら強い勝ち方で勝利しており、皐月賞組以外では最も期待される馬。
皐月賞組との力関係が肝だが、個人的には皐月賞の上位3頭の方が少し上と見ている。
ドゥラエレーデは、ホープフルSを人気薄で勝利した後は、ドバイでUAEダービーに出走して2着と好走。
ホープフルSは前残りの展開に恵まれた感があった点と、僅差で2着のトップナイフが皐月賞で7着に敗れたことから、
皐月賞組と比較するとやや力落ちの可能性が高いが、G1勝ちの実績があるだけに、皐月賞の上位3頭の次ぐらいの能力はありそう。
よって、やはり皐月賞の上位組が強いと見るが、序列をつけるとするなら、
ソールオリエンス >= タスティエーラ >= ファントムシーフ >= ショウナンバシット ≒ スキルヴィング ≒ ドゥラエレーデ
といったところだろうか。
<血統>
近5年の結果では、勝ち馬の父は以下の通り。
-ハーツクライ(2022年・ドウデュース)
-ディープインパクト(2021年・シャフリヤール)
-ディープインパクト(2020年・コントレイル)
-ディープインパクト(2019年・ロジャーバローズ)
-ディープインパクト(2018年・ワグネリアン)
ディープインパクト産駒の成績が圧倒的な成績。
2022年の勝ち馬の父ハーツクライもディープインパクトと同じサンデーサイレンス系の種牡馬と、
とにかくサンデーサイレンス系の馬が強いレース。
また、もう少し過去を遡ると、
-キングカメハメハ(2017年・レイデオロ)
-ディープインパクト(2016年・マカヒキ)
-キングカメハメハ(2015年・ドゥラメンテ)
-ハーツクライ(2014年・ワンアンドオンリー)
-ディープインパクト(2013年・キズナ)
と、キングカメハメハの名が出てくる。
日本の頂点を決めるレースだけに、日本のトップクラスの種牡馬の産駒しか勝利していない。
また、ディープインパクト・ハーツクライ・キングカメハメハの3頭に、
もう一つ共通点を出すとするなら、いずれも自身がダービーで連対した馬であること。
ダービー馬はダービー馬から、という競馬格言があるが、
これは、ダービーを勝つには、ダービーで能力を発揮できる早熟性と距離適性を持つ血が必要、
という点に繋がると著者は捉えている。
今年のダービー出走馬の父で、自身がダービーで連対することができたのは以下の3頭。
・ハーツクライ
・ドゥラメンテ
・サトノダイヤモンド
ハーツクライの産駒は、ハーツコンチェルト。
ドゥラメンテの産駒は、シーズンリッチ、ドゥラエレーデ。
サトノダイヤモンドの産駒は、サトノグランツ。
正直なところ、どれも人気薄で、ダービーを勝利するには少し力不足に見える。
これなら、サンデーサイレンス系という括りで見た方が良いのかもしれないが、
そこまで拡げると、流石に対象頭数が多すぎる。
今回は、力不足は承知の上で、穴馬として、
-ドゥラエレーデ
-シーズンリッチ
-サトノグランツ
を推してみたい。
<展開>
今回は非常に展開が読みづらいレースだと思う。
逃げの候補として、以下4頭が挙げられる。
-ホウホウビスケッツ
-トップナイフ
-パクスオトマニカ
-ドゥラエレーデ
どの馬もハナに拘る馬ではないのでペースは上がりそうにないが、
それだけに、鞍上が行く気になった時には、どの馬もスッと先手を取れそうだ。
有力どころでは、タスティエーラ、ファントムシーフが中団を追走し、
スキルヴィングとソールオリエンスは後方を追走する流れが予想される。
スキルヴィング、ソールオリエンスは、もし上手くゲートを決めて行き脚がつけば中団を追走したいだろうが、
内枠を引いただけに、前走と同様の後方待機になると見る。
有力馬が中団、後方に多いだけに、展開は先行馬に有利になることが予想される。
が、先行馬はどれも人気薄で、どれが残るかは正直なところ読みづらい。
ただ、有力馬に関しては展開が向く可能性は低く、
勝利するなら、比較的前目の位置を追走するか、展開を力で捻じ伏せて勝利するか、
予想外に出入りが激しいハイペースになった時だろうか。
<人気妙味>
圧倒的一番人気になりそうなのはソールオリエンス。
無傷の3連勝をしている皐月賞馬だけに、この人気は仕方ないところだが、
皐月賞で見せたインパクトは強烈だが、やや展開に恵まれた感もあるだけに、
この人気が実力に見合ったものかの判断が難しいところだ。
2番人気のスキルヴィングは、やや過剰人気に思える。
前走のG2青葉賞のメンバに混ざればでは圧倒的な強さだったが、
歴代の青葉賞勝ち馬のパフォーマンスと比べると、そこまで抜けた強さには見えなかった。
青葉賞組からはまだダービー馬が出ていないという中で、この馬がジンクスを破るとは思えない、というのが個人的な見解。
もし来たら、時代が変わったと思って諦めよう。
対して、3番人気のファントムシーフ、4番人気のタスティエーラは、上位人気馬では比較的妙味がありそう。
ファントムシーフは、元々が東京コース向きと言われていた中で、
中山コースで行われた皐月賞で3着となったことはむしろ実力の裏付けと捉えても良さそう。
タスティエーラは、皐月賞で唯一、先行して好走した馬で、展開が向かずに2着になったと捉えれば、
ここで人気を落とすならむしろ積極的に狙いたい。
ただ、この2頭は共に乗り替わりというマイナス要素がある。
ファントムシーフはルメール騎手から武豊騎手、タスティエーラは松山騎手からレーン騎手と、
乗り変わり後の騎手は共に名手で実力は申し分ないが、
ことダービーについては、乗り替わりで(特にテン乗りで)好走した例が少なく、
ここでは大きなマイナス要素になりそうで、それをどう捉えるか。
人気薄では、メタルスピード、ショウナンバシット、ドゥラエレーデ、べラジオオペラに妙味を感じる。
メタルスピード、ショウナンバシットは、皐月賞で4,5着と好走しながら今回もおそらく二桁人気と、さすがに舐められすぎ感。
ドゥラエレーデは、2歳G1ホープフルS勝ちの実績がありながら、上位人気馬とは離れた5~8番人気とやや軽視されている。
べラジオオペラは、新馬→1勝クラス→G2を3連勝の後、皐月賞では10着ながらも2番人気と指示を集めた馬。
人気薄が一頭は絡みそうなレースなだけに、この辺りも狙って見たい。
<結論>
・本命:ファントムシーフ
・相手:ソールオリエンス、タスティエーラ、ショウナンバシット、ドゥラエレーデ、べラジオオペラ
悩んだが、ファントムシーフを軸として見たい。
この馬は、出世レースであるG3共同通信杯の勝ち馬で、G1皐月賞で3着となった王道路線の馬。
元々、東京コース向きと言われておりこの舞台で上積みを見込める可能性が高く、
皐月賞の3着も一番人気を背負ってのものと、多くのダービー馬の戦歴と重なる。
懸念点は、武豊騎手がこの馬に初騎乗であることと、サンデーサイレンスの血を持たないこと。
このレースではこのマイナス要素は気になるが、レジェンド武豊騎手だけに、これらを払拭しての勝利を見てみたい。
相手には、有力馬と人気薄を組み合わせて考えたい。
皐月賞馬のソールオリエンスは、圧勝の可能性も充分ありそうだが、
今回は展開が向かないと見たのと、速い時計の勝利が無い点が気になった。
とはいえ、それ以外のマイナス要素はほとんど無く、有力な相手候補。
タスティエーラは、皐月賞組で最も強いレースをしたように見えるので、今回も実力を信じて相手として買いたい。
マイナス要素としては、鞍上のレーン騎手がテン乗りなこと、共同通信杯ではファントムシーフに完敗していること。
テン乗りはファントムシーフと同じだが、共同通信杯の結果が実力を表しているように見えて、こちらを下位に取った。
ここからは人気薄を狙う。
ショウナンバシットは、皐月賞の好走がフロックでなければ、かなりの実力馬の可能性アリ。
今回も人気薄のまま、鞍上もデムーロ騎手と穴馬として狙える一頭。
ドゥラエレーデは、先行脚質で展開が向きそうなことと、ダービー馬ドゥラメンテを父に持つ血統、
別路線から来た未知の魅力に期待。
べラジオオペラは、G2スプリングSまで3連勝し、皐月賞で2番人気に推された実力馬。
前走の敗戦は、前崩れの展開に巻き込まれた影響が強く、これで一気に人気を落としたなら妙味が大きい。
ダービーは内枠有利とも言われ、1枠1番は先行するなら絶好枠になりそうだが、
父がロードカナロアと2400mは向きそうに無い点が気になって相手までと見たい。
人気馬で評価を落としたいのは、G2青葉賞の勝ち馬スキルヴィング。
鞍上のルメール騎手が、皐月賞で3着のファントムシーフではなく、こちらに騎乗するということもあって人気になりそう。
ただ、先述したが過去の青葉賞勝ち馬と比較すると、そこまでの好パフォーマンスとも言えず、
この馬がダービーを勝てるなら、過去の青葉賞勝ち馬でも勝てていたのでは、、と思えたので、今回は外して考えたい。
※主観だが青葉賞をより強いパフォーマンスで勝って、ダービーを勝てなかった馬達。
-シンボリクリスエス(2002年)
-ゼンノロブロイ(2003年)
-ハイアーゲーム(2004年)
-ペルーサ(2010年)
-フェノーメノ(2012年)
-ヴァンキッシュラン(2016年)
-アドミラブル(2017年)
相手が強すぎた、惜しい馬達も多いが、この辺りの馬と比べると、
スキルヴィングがこれらより上と思えない、というのが著者の感想。。
全ての競馬関係者が目標とするレース。
競馬ファンとしてもこのレースを当てられれば大変嬉しい。
が、馬券の的中と同じぐらい、良いレースを見たいという思いもある。
馬券的中&好レースを見て良い思い出を残す、そんな日になってほしいものだ。