カリフォルニアクロームとサンダースノー

2023年に産駒がデビューした新種牡馬は、近年稀に見る豪華なラインナップだった。

その中で最も期待されたのは、レイデオロだっただろうが、
それ以上に注目を集めていたのは、カリフォルニアクロームだろう。

カリフォルニアクロームは、2014年と2016年の全米年度代表馬であり、
2014年はケンタッキーダービーを含むクラシック2冠、
2016年はドバイワールドCを制覇した超一流馬である。

過去に日本に輸入された種牡馬の中でも、競走成績はトップクラスの馬である。

敢えて比較対象を挙がるなら、サンデーサイレンス、ダンシングブレーヴ、ラムタラ辺りだろうか。
(オールドかつコアなファンにしか通じないかもしれないが、、)

だが、実はその陰で、もう一頭、かなりの競走成績を残した馬が輸入されている。

それがサンダースノーである。

こちらは欧州でデビューし、クラシックでは目立った成績は残せなかったものの、
ダートでも好成績を残し、2018年と2019年のドバイワールドCを制覇した馬である。
カリフォルニアクロームと比較しても、古馬になってからの成績はこちらの方が上かもしれない。

カリフォルニアクロームとサンダースノー。

どちらも、ドバイワールドCを制しているという共通点があり、
なんとなく、ダートの超一流馬という印象があるのではないだろうか。

ただ、この2頭、よく調べてみると、生まれた地域も違えば、血統背景も大きく異なっており、
日本での種牡馬としての活躍の仕方も、大きく変わってくるのではと考えている。

ここでは、2023年の2歳戦までを終えた現時点で、
両馬の種牡馬としての今後について考察してみたい。

※なお、2023年新種牡馬についての記事で、血統構成や個人的な期待は語っているため、
 2頭の詳細についてはそちらを参照されたし。

 ・カリフォルニアクローム
 ・サンダースノー

<血統比較>

・カリフォルニアクローム
 父:ラッキープルピット(その父:プルピット・エーピーインディ系)
 母父:ノットフォーラブ(その父:ミスタープロスペクター・ミスタープロスペクター系)

・サンダースノー
 父:ヘルメット(その父:エクシードアンドエクセル・デインヒル系)
 母父:ドバイディスティネーション(その父:キングマンボ・キングマンボ系)

カリフォルニアクロームは米国ダートへの適性が強いのに対し、
サンダースノーはダートよりも、むしろ芝コースへの適性が見込まれる。

どちらも海外種牡馬であるだけに、サンデーサイレンスの血を引いていないことから、
配合の幅は広く、そういう点では両馬とも多様な産駒が生まれる可能性がある。

<戦績比較>

・カリフォルニアクローム
 主要な活躍国:アメリカ、ドバイ
 主な勝ち鞍:ドバイワールドC(G1)、ケンタッキーダービー(G1)、プリークネスS(G1)

・サンダースノー
 主要な活躍国:フランス、ドバイ
 主な勝ち鞍:ドバイワールドC(G1)、ジャンプラ賞(G1)、クリテリウム・アンテルナシオナル(G1)

先述した通り、両馬ともにドバイワールドCを勝利しているという共通点はあるものの、
カリフォルニアクロームの主戦場はアメリカのダートで活躍、
サンダースノーの主戦場はフランスの芝で活躍と、それ以外での戦績は大きく異なる。

血統背景もそうだが、戦績からも、カリフォルニアクロームはダート適性が強く、
サンダースノーは芝コースにも適性があるのでは、と考えられる。

※但し、アメリカのダートで活躍した馬は、サンデーサイレンスのように、
 日本の高速芝コースに高い適性を示すこともあるため、一概にダート専用という判断はできない。

<2歳馬の産駒成績比較>

・カリフォルニアクローム
 2023年種牡馬リーディング順位:123位
 AEI(アーニングインデックス):0.39
 代表産駒:スプリングノヴァ(1勝クラス・サフラン賞勝ち)

・サンダースノー
 2023年種牡馬リーディング順位:161位
 AEI(アーニングインデックス):0.15
 代表産駒:フクノフードゥル(NARオープン・ジェムストーン賞勝ち)

ここまでの成績を見る限り、両馬とも目立った戦績を挙げられていない。
著者ももっと産駒が活躍することを予想していたが、現状では、中央で2勝できれば出世頭といったところだ。

AEIの数字もリーディング上位種牡馬のそれとは程遠く、
正直なところ、この数字では、失敗種牡馬と言われても致し方がないところだろうか。

<今後の展望>

アメリカの年度代表馬クラスの馬であるカリフォルニアクロームが、このままの成績で終わるとは思えないし、
フランス・ドバイで活躍したサンダースノーが、このまま見せ場なく種牡馬生活を終えるとも考えづらい。
(フランスで好成績を収めた馬は、日本でも一定の種牡馬成績を収めることが多い)

著者の見解としては、2023年の種牡馬成績は、一時的なものと捉えても良いのではないだろうか。

2024年に入って、カリフォルニアクローム産駒のワイドラトゥールがOP特別・紅梅Sを勝利した。
サンダースノーの産駒では、まだ中央でOP入りする馬が出ていないものの、勝ち上がりは徐々に増えている。

2歳戦では、種牡馬同期のスワーヴリチャードに大きく差をつけられてしまったが、
この差は、今後、充分に埋めていけるのではと考えている。
2世代目以降の産駒の活躍に期待している。

※これはあくまでも著者の主観ですので、決して、これを信じて馬券は買わないで下さい。
 でも、もし2024年以降に、両馬が種牡馬として飛躍し、活躍した場合は、著者の先見の明を褒めて下さいね。(笑)

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