ノーザンダンサー系は、
2023年現在、世界で最も繁栄している系統の一つである。

現代の日本ではサンデーサイレンス系、キングカメハメハ系の勢いが強いため、
ノーザンダンサー系の種牡馬がリーディング上位に来る馬はそこまで多くないが、
世界的には、特に欧州の競馬において圧倒的な実績を誇る系統である。

日本で活躍する代表的な種牡馬としては、
・ハービンジャー
・ヘニーヒューズ
・クロフネ
といった辺りが挙げられる。

上記の3頭は更に細かく系統分けすることもできるが、
いずれもノーザンダンサーから派生した種牡馬であり、
ここではノーザンダンサー系として説明する。

ハービンジャーは芝の中長距離、ヘニーヒューズはダート戦、
クロフネは芝・ダート兼用の短距離、など、それぞれ得意とする条件が異なる。
この多様性がノーザンダンサー系の強さである。

かつての日本では、サンデーサイレンスが導入される前は、
ノーザンダンサー産駒のノーザンテーストがリーディングサイアーだった。
ただ、この馬の産駒は種牡馬としてあまり活躍できず、
ノーザンテーストの血はサイアーラインから消えてしまった。

欧州では、ノーザンダンサー産駒のサドラーズウェルズ(Sadler's Wells)が
1990年代から10回以上、イギリス・アイルランドのリーディングサイアーとなる。
サドラーズウェルズが死去した後も、ノーザンダンサーの血を引くデインヒル(Danehill)、
ガリレオ(Galileo)らがリーディングサイアーとなり、
種牡馬リーディングは、長らくノーザンダンサー系の独壇場となっている。

アメリカでは、ミスタープロスペクター系の活躍により欧州ほど圧倒的ではないものの、
ノーザンダンサーの孫にあたるストームキャット(Storm Cat)が種牡馬として大成功を収め、
ストームキャットの血を引くジャイアンツコーズウェイ(Giant's Causeway)、
イントゥミスチーフ(Into Mischief)などがリーディングサイアーを獲得している。

ノーザンダンサー自身は、1964年のケンタッキーダービーを制したカナダ産の馬である。

ケンタッキーダービーは、アメリカ競馬で最も有名なレースであり、
競走馬としても充分な実績を残したが、引退後に種牡馬として残した実績は更に圧倒的だった。

種牡馬入りして早々にイギリス三冠馬のニジンスキー(Nijinsky)を輩出。
それ以降も、競走馬として優れた産駒を輩出するだけでなく、
先述したサドラーズウェルズのような、種牡馬として成功を収める産駒を多く輩出した。

代表的な産駒として挙げられるのは、
リファール(Lyphard)、ヌレイエフ(Nureyev)、ダンチヒ(Danzig)、
ストームバード(Storm Bird)、サドラーズウェルズ(Sadler’s Wells)、など。

これらの馬が世界各地で種牡馬として大成功を収めたため、
ノーザンダンサーの血は今や全世界に拡がっている。

上記に挙げた馬達はそれぞれ「〇〇系」と呼ばれるほどの繁栄をしており、
ノーザンダンサー系を更に細分化した系統の代表として、以下の系統が挙げられる。

・サドラーズウェルズ系
・ダンチヒ系
・リファール系
・ヌレイエフ系
・ストームバード系
・ヴァイスリージェント系

このうち、ストームバード系とヴァイスリージェント系はダート、
それ以外は欧州のような重たい芝で活躍する血統である。

それぞれの系統については別記事で紹介するが、
大枠としてのノーザンダンサー系は「パワーと持久力が武器の系統」と覚えておくと良いだろう。