以前、川田騎手や武豊騎手のG1成績について検証したことがある。

川田騎手は長距離G1に弱い?

武豊騎手が長距離に強い、は本当なのか?

では、逆に、スプリントG1(1200mのG1)での得手不得手(得意・不得意)はあるのだろうか?

それを検証していきたいと思う。

なお、今回に関しては、長距離と違い、強い肌感や定説があるわけではないので、
リーディング上位の騎手の成績がどうなのか?という視点で分析してみたい。

<対象範囲>
・2014~2023年の5年間の1200mのG1レース

<考察①:スプリントG1レースに強い騎手・弱い騎手はいるか?>

結論から言うと、得手不得手はある。

以下が著者が考える得意・不得意な騎手である。

・得意な騎手:川田将雅騎手、ルメール騎手、デムーロ騎手、松山弘平騎手、浜中俊騎手

・不得意な騎手:戸崎圭太騎手、池添謙一騎手、横山典弘騎手、武豊騎手

※得意な騎手:騎乗回数10回以上で、複勝率30%を超えている騎手
 不得意な騎手:騎乗回数10回以上で、複勝率10%を下回っている騎手

得意な騎手に関しては、順当にリーディング上位の騎手が上がっているように見えるが、
どちらかというと、早めに仕掛けるか、先行で結果を残している騎手が多いように思う。

不得意な騎手に関しては、全体的に、芝の差し馬に強い騎手が多いように見える。
特に、戸崎騎手の不得手が目立っており、過去10年で馬券に絡んだのはたった1回のみ。
その1回も、1番人気のストレイトガールで勝利したスプリンターズSであり、
それ以外は上位人気も複数回あるものの、なんと全ての馬が人気を下回っている。
これは流石に不得手と言っても良いだろう。

<考察②:リーディング上位騎手"以外"でどんな騎手がスプリントG1に強いのか?>

結論から言うと、これは騎手に関しての偏りは少なく、
・一度好走した馬に、2回目以降も騎乗している騎手が好走する
というものだ。

考察①の得意・不得意は、騎乗回数が10回以上に絞って判断したが、
この騎乗回数の縛りを外せば、大まかな傾向が見えてくる。

例えば、松若風馬騎手は、騎乗回数5回、複勝率40%で、
その5回はいずれもモズスーパーフレアへの騎乗である。
また、丸田恭介騎手は、騎乗回数6回、複勝率33.3%で、
複勝圏内に入った2回は、いずれもナランフレグに騎乗した時のものである。

他にも、騎乗回数が少なめな騎手が、複数回の好走をしている例は、
同じ馬で、複数回の好走をしているケースが多い。

そのため、リーディング上位騎手"以外"でスプリントG1に強い騎手が存在するというより、
一度好走した馬に、改めて騎乗する時は、リーディング上位騎手が騎乗していなくても、好走する傾向にあると言える。

<結論> ※個人的見解です。

スプリントG1レースが得意・不得意(強い・弱い)という騎手はいる。

先行して強い騎手はスプリントG1に強いし、
差し脚を活かして好走する騎手はスプリントG1では相性が悪い。

これを馬券に活かすのであれば、
スプリントG1が不得意な騎手から馬券を買うのは避けて、
・リーディング上位の先行得意な騎手から買う
・リピーター(過去に好走した)馬から馬券を買う
といった辺りが、日本のスプリントG1レースを的中させるコツだろうか。

<所感>

個人的には、戸崎騎手がスプリントG1を苦手としているのが意外だった。
ストレイトガールのイメージが強く、短距離G1を得意としている印象が強かったからだ。

あとは、"短距離の差し馬"という定説が競馬にはあるが、それは疑わしいという点。
差しが得意な名手達の、スプリントG1での成績の悪さが目立つ。

これは、現在のスプリントG1においては、位置を取ること(前目につけること)の
重要性が増したということだろうか。

名手が騎乗しているからといっても、
前目の位置を取れない馬の場合は、
スプリントG1で好成績を上げるのは厳しいということだろう。

この辺りは、今後の馬券購入にも役立てたい知識である。