誰もが認める日本競馬界のトップジョッキー、クリストフ・ルメール騎手。
2024年現在、最も馬券的に信頼できる騎手と言っても過言では無いだろう。
それだけ良い馬に乗っているし、人気にもなるし、
芝・ダートを問わず、短距離から長距離までどの距離でも安定して馬券に絡んでくれる。
本命党にとっては大変ありがたい存在だが、
逆に、穴党にとってはかなりの難敵である。
では、穴党がルメール騎手を外して馬券を買う場合、どんな条件で買えば良いのだろうか?
それを数字の面から探ってみたい。
※なお、今回は多くの人が馬券を買っている重賞レースに絞って調査を行っている。
オープン特別以下での数字は考慮していないため、その点はご了承願いたい。
<対象範囲>
・2019~2023年の5年間にルメール騎手が騎乗した重賞レースのうち、競走中止していないもの。
<考察①:ルメール騎手には苦手な条件は無いのか?>
結論としては、苦手と言える条件は見当たらないが、
強いて挙げるならダート戦、中でも中距離戦がやや穴場(?)と言える。
以下にその根拠を示す。
全体的に、芝と比較するとダート戦の方がやや成績が落ちる。
また、芝なら短い距離よりも長い距離の方が好走率が高い傾向にある。
とはいえ、短距離から中距離までほぼ複勝率は30%を超えており、
どの条件も、苦手と呼ぶには少し厳しい数字ではある。
だが、ここから苦手な条件を強いて挙げるなら、
ダートの中距離が挙げられるのではないだろうか。
グラフ上ではダート1800mと2000mの複勝率は20%を下回っているが、
そもそもサンプル数が少ないため、ここを苦手と捉えるかは賛否が分かれる部分かもしれない。
※なお、1900mのダート重賞についてはサンプル2件で、共に1番人気への騎乗である。
だが、他の条件と比べても勝率が明らかに下がるのはダート1800mと2000mであり、
敢えて苦手な条件というものを探るなら、やはりこのダート中距離と言えるだろう。
※著者自身は、このダート中距離で成績が落ちるのには理由があり、
現時点では数字の裏付けが出せないが、以下2点が主な理由と考えている。
・ルメール騎手がフランス出身のため芝競馬を得意としていること
・スタート得意の優位が活き辛い条件であること
(この辺りは別の記事で検証してみたい)
<考察②-1:ルメール騎手にはレースの格は関係ないのか?・ダート編>
次に、ルメール騎手は、レースの格を問わずに好成績を上げている印象があるが、
それが本当かを探ってみたい。
まずはダートレースのクラス別(格別)成績である。
数字だけ見れば、G3よりG1の方が成績は好成績である。
(但し、ダートG1は年2回しかなく、サンプル数が少ない点には留意する必要アリ)
ルメール騎手と言えば、そもそもローカル周りをしないため、
ダートG3に騎乗する機会そのものが少ないが、
とはいえ、ルメール騎手自身の全体的な数値から言えば、
ダートG3戦の勝率~複勝率は他の条件と比較すると低く、
ここは軽視しても良い条件だと言えるのではないだろうか。
※あくまでも、ルメール騎手の他条件と比較した場合の数字である。
他の騎手と比較すれば、この成績でも脅威的であることは言うまでもない。。
<考察②-2:ルメール騎手にはレースの格は関係ないのか?・芝編>
続いて、芝レースのクラス別(格別)成績である。
・・・これを見てどう感じるだろうか?
著者は、G1の好走率の高さに驚いた。
G1に限って言えば、どの距離のレースでも複勝率は40%を超えており、
勝率でも20%以上の数字を記録している。
逆に、G3での好走率に関しては、ややイメージより低いと感じた。
2200~3000mのG3は番組数が少ないこともあり戦績は2000m以下に集中しているが、
それでも1200m戦を除けば複勝率は40%以下であり、これはG1の好走率よりも全体的に低い。
※但し、これは距離の問題もあるかもしれない。
ルメール騎手の戦績は全体的に中長距離の方が良いため、
中長距離の少なさが、G3での成績低下に影響しているとの見方もある。
G2でも、G1のそれと比較すると少し好走率は下がるものの、
G3よりも全体的に好走率は高く、
G1 > G2 >> G3
といったイメージである。
このことから、もしルメール騎手を外して買うのであれば、
G1よりもG2、G3で外す方が、馬券的中率は上がると言えるだろう。
<結論> ※個人的見解です。
・ルメール騎手を重賞で馬券から外すなら、G1よりも格の低いレースの方。
特にG3が狙い目で、中でもダートなら馬券外となる確率は上がる。
・ルメール騎手は、中長距離よりも短距離の方が成績が下がる傾向にあり、
芝レースでも1400~1800mのG2、G3なら、約60%は馬券外となる。
…とはいえ、あくまでも、これは"ルメール騎手の中では"好走率が低い条件が上記であるということ。
他の騎手との比較では、やはり圧倒的に好走率は高いと言え、
ルメール騎手を馬券から外して買うのは、それだけで、的中率を大幅に下げていることに変わりはない。
<所感>
個人的には、G3の成績がG1と比較してここまで低いのは意外だった。
とはいえ、どの距離でも40%近い複勝率があるので、
決して馬券的に軽視できるものではないことを再認識した。
ただ、仮に一発逆転を目論んでルメール騎手を外すのであれば、
G3戦が狙い目、といったところだろうか。
逆に、G1では、ルメール騎手を外して買うのは自殺行為と言っても良いのではないだろうか。
しばらくの間、G1では思考停止してルメール騎手を軸にした馬券を購入してみたい気持ちになった。。
※個人的には、フィエールマンが勝った菊花賞が衝撃的だった。
(今回の分析における集計期間外ではあるが)
前走がG3で2着の馬が、休み明けで3000mのG1を勝つなんてあり得んでしょう、普通は。。