近年、JRAのインターネット投票で、海外競馬の馬券が購入できるようになった。

いくつかの条件はあるが、基本的には、海外の主要G1レースに日本馬が出走していれば、
そのレースの馬券を日本でも購入することができる。

ただ、、なんとなくだが、馬券は当てにくいような印象がある。
(買える馬券の種類も日本と同じで、手に入る情報もそこまで変わらないはずなのに・・・)

では、日本のG1レースと海外G1レースの結果がどう違うのか、
馬券を的中させるあたってコツなどがあるかといった点を、
主に”人気”を主軸とした切り口で検証してみたい。
※当て易さの指標として使うため、"人気"という指標を用いているが、
 これはJRAで購入された馬券の人気順を示しており、現地オッズやブックメーカーのオッズでは無い。

<対象範囲>
・海外G1レース:2020年~2022年にJRAで発売された海外G1レース(計32レース)
・日本G1レース:2020年~2022年にJRAで発売されたJRA開催の平地G1レース(計72レース)

<考察①:海外競馬の方が人気馬が信用できないのか?>

一つ目は、単純に、海外競馬の方が人気馬の好走が少なく、人気薄の好走が多いからか?という疑問だ。

これは”半分は正解”という結論になった。

好走馬(1~3着に入線した馬)の人気分布をまとめたものが以下2つの図である。

※日本競馬はフルゲート18頭までだが、横軸の長さを海外の表と合わせるために19番人気まで表示としている。

上記2つのグラフを比べると、好走馬の人気分布として、
 -1番人気の割合が約20%を占める
 -1~4番人気までで約60%の割合を占める
 -1~7番人気までで約80%の割合を占める
という点は、日本・海外のG1レースの両方とも同じである。

ただ、日本のG1と海外のG1では出走頭数に少し違いがあり、
 -日本G1:平均出走頭数-16.7頭
 -海外G1:平均出走頭数-11.6頭
となっているため、相対的に人気薄の好走率は高い、とは言える。

頭数の違いを相対値に変えて計算することも考えたが、
それを言い出すと人気順ではなくオッズ比較が、、とも思ったので、
傾向という意味では、
・人気馬は、日本・海外ともに同じような確率で好走するが、
 出走頭数の少なさを加味すると、人気薄が好走する確率は海外の方が高い。
として、ここでは結論づけたい。

<考察②:国ごとに傾向の違いはあるか?>

では、馬券が当てにくい印象があるのは、国ごとで傾向に違いがあるか?という点を確認したい。

結論として、これは一定の傾向が見て取れた。

以下の表は、1~3着馬の平均人気を、国別にまとめたものである。

※「平均 / 1着馬-人気」は1着となった馬の平均人気であり、「平均 / 馬券内-人気」は1-3着馬の平均人気である。
 日本では1着馬の平均人気は3.1、海外は4.1と、やや日本の方が上位人気馬が勝ち易い、と見てほしい。

まず、日本と海外(合計)を比較すると、1着馬の平均人気は日本:3.1、海外:4.1となっており、
人気馬が1着になり易いのは、日本の方だと言える。

ただ、馬券内の平均人気は日本:4.4、海外:4.3となっており、馬券内3頭という括りで見ると、
日本と海外とで大きな差がないことが分かる。

だが、国別で見ると、1着馬の平均人気が圧倒的に低い(=人気馬が勝ち易い)のは香港となっている。
(数字だけならオーストラリアの方が低いが、オーストラリアは該当レース数が1とサンプル数が少なすぎる)

他の国では、アメリカ、フランス、ドバイのレースで、1着馬の平均人気が5.0を超えており、
これらの国は比較的、人気の低い馬が勝ち易いレース、という傾向が出ている。

これにはいくつかの要因が考えられるが、著者が思いつく要素としては、
・日本の馬が遠征して人気をするが、あまり勝てていない。
というのが理由だと感じている。

参考までに、レース開催地ごとに、どの国で調教された馬が勝利しているかの表を示す。

※紛らわしいが、左端がレース開催国、AUS~USAがどの国の馬かを示している。
 Ex)日本の馬は、アメリカで1勝、ドバイで1勝、香港では6勝している。

例えば、ドバイでは8レースのうち日本馬は1頭しか勝利していないが、香港では13レースのうち6勝(!?)を挙げている。

このように、日本馬が人気で勝ち切っているために、香港の1着馬の平均人気が下がっているのではと推測している。

もちろん、そこには、日本と香港で芝が似ているとか、
遠征地までの距離が近いためコンディションが調えやすい等の理由があるだろうが、
こと”人気”という切り口で考えると、
・香港は人気馬が勝ち切り易いが、それ以外の国では人気馬が敗れることが多い。
と言えるだろう。

<結論>

・海外G1レースでも、人気馬の好走率は日本のG1レースと大きくは変わらないが、人気薄が好走する確率がやや高い。
 (1~3着馬の平均人気順は、海外と日本でほとんど差が無い)
・但し、国ごとに傾向の違いがあり、香港は人気馬が勝ち切り易い傾向にあるが、
 アメリカ、ドバイ、フランスは、1着馬の平均人気は5以上と、穴馬の勝利も多い。

<所感>

2020~2022年の3年間、ドバイのG1を日本馬が1勝しかしていないのが少し意外に感じた。
ドバイの日本馬は割と好走している印象だったのだが、勝ち切った馬はあまりいなかったということ。

今年(2023年)はイクイノックスのドバイシーマクラシック勝利やウシュバテソーロのドバイワールドカップ勝利を始め好走が目立ったが、
海外遠征して勝利することは本当に難しいのだと痛感した。。

今回は分析が浅いように感じるので、機会を見てもう少し深堀してみたい。
(色々と調べれば面白い考察ができそうに思うので。。)

※あと、現地オッズをうまく収集する方法が見つからなかったので今回は断念したものの、
 現地オッズとJRAオッズを比較した検証をやってみたいとは思っている。。