「競馬」とは、競走用に育てられた馬達が、騎手を乗せて一斉にスタートし、
ライバル達より早くゴールに到達することを目指す競技である。

別の記事では、なるべく実力の拮抗した馬同士を対戦させて
レースを面白くするるためのクラス分けについて解説した。

だが、JRAの競馬には、クラス分け以外にも、
馬が背負う重量である"斤量"を調整するという仕組みも用意されており、
今回はそれについて解説したい。

まず、馬はレースを走る際には騎手を乗せて走るが、
厳密には、騎手だけではなく、重り(オモリ)をつけた状態で走っている。
その騎手+重りを合計した重量が、斤量(=負担重量)である。

※馬柱の騎手欄の上に"55"とか"57"などの数字が記載されており、
 それがレースでその馬が背負う斤量を表している。

一般論として、斤量は重ければ重いほどレースでは不利になり、軽ければ軽いほど有利になる。
具体的には、斤量1キロあたり、約1馬身(=馬の身体1頭分)の差が出ると言われている。

斤量を決めるためのルールとしては、
大きく分けて以下の3種類が存在する。
・定量(馬齢重量) ※定量と馬齢重量は異なるルールだが近いものなのでここはザクっと一纏め。
・別定
・ハンデキャップ

まず"定量"とは、馬の性別と年齢を元に斤量を決めるレースである。
一般論として、競走馬の強さ(速さ)は、
・牡馬>牝馬
・大人の馬>若い馬
と言われている。
そのため、大人の牡馬の斤量をベースとして、
牝馬ならマイナス2キロ、1歳若ければマイナス2キロ、というようにして、
その馬が負担する斤量を決定する。

この決め方が、最も馬の実力がレース結果に反映され易いため、
最も格上のレースであるG1レースは、全てこの方式で負担重量が決められている。
※あくまでも日本の競馬の話。海外では別定やハンデのG1も存在する。

次に"別定"とは、負担重量を決定する何らかの基準が設けられているレースである。
(別定=別で定められている、と覚えれば良いだろうか。違ってたらスンマセン。)
たとえば、以下のようなものである。
・収得賞金3000万円超過馬は超過額2000万円毎に1kg増
・G1競走1着馬は2kg増、G2競走1着馬は1kg増
大きく分けると、獲得賞金により負担が決まるものと、
過去の大レース実績により負担が決まるもの、の2種類があると考えて良い。

上記の2種類だと、後者の方が、実績馬が負担する重量は他馬と比べて軽くなり易い。
そのため、G1レースを何勝もするような強豪馬が別定戦に出走する場合は、
後者の別定戦に出走することが多い。
※後者でなければ、負担重量65キロ、などという圧倒的不利かつ危険な斤量になるため。

最後に"ハンデキャップ"だが、これはJRAのハンデキャッパーと呼ばれる人達が、
「全ての馬が同時にゴールする」ことを目指して、負担重量を決定するレースである。
これは、定量戦や別定戦のようにルールとして明示されたものではなく、
出走馬の過去実績や近走成績などを元に、割とアナログに決定されるものである。
一般的には、このハンデ戦ほど荒れやすいと言われている。

斤量は、前述のように、レースを面白くするためのルールとして用意されており、
その狙い通り、本当に上手く効いている仕組みである。
競馬を楽しむための要素として、覚えておいて損は無いのでぜひ覚えてほしい。
※特に「斤量1キロあたり、約1馬身」を覚えておくと、より予想を楽しめるだろう。