ナスルーラ系は、アメリカ・欧州を中心に、繁栄している系統である。
2023年時点では、ノーザンダンサー系や、ミスタープロスペクター系と
比較すると勢いはやや劣っているものの、数々の名馬を輩出し、
今でも存在感のある種牡馬が多い系統である。
ナスルーラ系は、豊富なスピードが武器の産駒が多いが、
現在繁栄している系統としては、以下3種類の大きく適性の異なるジャンルで活躍を見せている。
・アメリカのダートで活躍する系統
・ヨーロッパの中長距離で活躍する系統
・日本の短距離で活躍する系統 ※やや衰退気味。。
日本で活躍する代表的な種牡馬としては、
・シニスターミニスター
・パイロ
・バゴ
といった辺りが挙げられる。
現在でこそ日本競馬のリーディング上位に挙がってくる機会が減っているが、
一時期は、芝の中長距離を中心にトニービン産駒の活躍、
芝の短距離ではサクラバクシンオー産駒が活躍しており、
リーディング上位に名前を連ねていたこともある。
それらの馬が引退し、トニービンの血はジャングルポケットへ、
サクラバクシンオーの血はショウナンカンプ、グランプリボスへと繋がっているが、
かつてのようにリーディング上位に挙がってくることは無い。
現在、日本で活躍しているシニスターミニスター、パイロはアメリカから輸入されたダート血統で、
これは、ダートコースである程度、安定した結果を出している。
また、バゴは凱旋門賞を勝利し、輸入された欧州の血統であり、
近年では、クロノジェネシスが日本のG1を複数回勝利するなど大活躍している。
(が、この馬は牝馬のため種牡馬になれず、サイアーラインが繋がらない。。)
ナスルーラ自身は、1940年に欧州で生まれ、2~3歳に活躍した馬である。
自身もG1レースを複数回勝利しており、競走馬としても一流の馬だったが、
引退後の種牡馬としての活躍はそれを大きく凌ぐものだった。
代表産駒としては、
グレイソヴリン(Grey Sovereign)、プリンスリーギフト(Princely Gift)、
ボールドルーラー(Bold Ruler)、レッドゴッド(Red God)、
ネヴァーベンド(Never Bend)など。
種牡馬としての活躍期間も比較的長く、
世界各地で多様な産駒を輩出し、その血を拡げていった。
グレイソヴリン、レッドゴッド、ネヴァーベンドは主に欧州で、
ボールドルーラーは米国、プリンスリーギフトは日本で活躍馬を輩出。
プリンスリーギフト系は衰退しつつあるものの、
グレイソヴリン、レッドゴッド、ネヴァーベンドの系統は、
リーディングサイアーこそ獲得できないものの現在も数々の名馬を輩出している。
また、ボールドルーラーの系統に至っては、エーピーインディ(A.P. Indy)、
タピット(Tapit)などがアメリカのリーディングサイアーに何度も獲得しており、
ノーザンダンサー系、ミスタープロスペクター系に次いで、世界的に繁栄している系統である。
アメリカの系統と欧州の系統で、活躍する舞台は異なるものの、
産駒の特徴としては、スピードの持続力を武器に活躍する馬が多い。
アメリカの系統では、ダートでスピードの持続力を武器に先行して押し切る。
欧州の系統では芝の長い直線でしぶとく脚を伸ばして差し切る。
そんなイメージの産駒が多い。
日本の芝コースでの競馬では、
サンデーサイレンス系の瞬発力を武器にした馬の活躍に押され、
なかなか結果が出なくなっているが、
先述したクロノジェネシスのような大物も出るので、
コースと展開が合えば、日本のG1レースでも充分に勝ち負けできる。
日本競馬では、持続力を武器に押し切る血統と覚えておこう。