<どんな種牡馬?>
-2023年種付け料:150万円
-父:マルジュ
-母:ジョコンダⅡ(母父:ロッシーニ)
-主な勝ち鞍:香港ヴァーズ(G1)、宝塚記念(G1)、弥生賞(G2)
<概説>
日本で産まれ、現役時代は日本を中心に活躍し、日本と香港のG1レースを勝利した名馬だが、
持ち込み馬のため、日本ではあまり馴染みの無い血統である。
2歳でデビューし、クラシックの王道を歩み、皐月賞では1番人気に支持されるほど期待されていたが、
この世代はライバルが非常に強力で、皐月賞、ダービーはドゥラメンテに完敗。
他にも、同世代にキタサンブラック、リアルスティールらがいる近年稀に見るハイレベルな世代で、
なかなかG1を勝利することができなかった。
初のG1勝利となったのは4歳秋の香港ヴァーズ(G1)。
そこで一皮むけたのか、翌年の春には強力なライバルを相手に宝塚記念(G1)を制し、国内でもG1勝利を上げる。
秋には更なる活躍が期待されたが、
後に名勝負と語り継がれる豪雨の中の天皇賞(秋)でキタサンブラックの2着に敗れる。
そこで燃え尽きたのか、以降のレースは活躍することができず引退。
そのまま日本で種牡馬入りすることとなった。
種牡馬入り以後は、日本に馴染みの無い血統と、やや地味な戦績もあって、
同世代のドゥラメンテ、キタサンブラック、リアルスティールらと比べると期待度は低かった。
ただ、繁殖相手の幅が広いなどのメリットもあることから、
初年度は200頭を超える種付けを行ったが、徐々に種付け数は低下し、2022年は78頭まで落ち込んだ。
しかし、初年度産駒のタスティエーラが2023年のダービーを制したことで、
人気は急回復の兆しを見せており、今後の活躍が期待される。
代表産駒は、前述したタスティエーラ。
2023年のダービー馬であり、皐月賞、菊花賞でもそれぞれ2着に好走しており、
距離、競馬場を問わず常に高いパフォーマンスを見せている。
上がり3Fが33秒台と速い上がりを使うこともできるが、レース最速上がりを使うようなことはなく、
どちらかといえば、しぶとく伸びる消耗戦に強いタイプと言えるだろう。
<ざっくり特徴>
・芝専門の血統。(ダートはほぼ好走実績ナシ)
・上がり勝負よりも消耗戦に強い。(サンプルやや少ないが札幌・函館が特に得意)
・距離は万能。短い距離もこなすが、長い方がより好成績。
<少しだけ考察>
同世代の協力なライバルの陰に隠れていたが、隠れた実力者だったこの馬。
ドゥラメンテ、キタサンブラックと同世代ながら、
中距離のG1を2勝しているというのは非常に価値がある。
繁殖牝馬の質もあって、先述の2頭と比較すると種牡馬成績も見劣りするが、
初年度からダービー馬を輩出したという実績は素晴らしい。
しかも、この血統は日本でほとんど馴染みが無いため、
サンデーサイレンス系やキングカメハメハ系の良血と配合し易いという強力なメリットがある。
(タスティエーラの母父はマンハッタンカフェ→サンデーサイレンス系)
そうでありながら、父マルジュの血は、桜花賞馬マルセリーナらの母父として
一定の成績を上げていることから、日本競馬との相性もある程度、保証されている。
リーディングサイアーランキング上位の常連とまでは厳しいかもしれないが、
今後もG1で活躍する大物を輩出してくれるに違いない。
ただ、気になるのは、ダート適性が全く無さそうな点だろうか。
バリバリの欧州血統なだけに仕方の無いところだが、
これは繁殖牝馬を集める上での一つのデメリットになりそうだ。
<所感>
タスティエーラがダービーに次いで菊花賞で2着となり、
父名に懐かしい名前があったので少し考察してみた次第だ。
とは言っても、正直、私自身はこの馬が現役だったころの印象はそこまで強くなく、
同世代のドゥラメンテ、キタサンブラックのライバルの一頭だったという印象。
勝ったレースよりも、キタサンブラックに敗れた天皇賞(秋)のイメージが強く、
重馬場を苦にしないタフな馬という印象を持っている。
タスティエーラは、3歳春の時点では、上がり33秒台の脚を使って好走しており、
サトノクラウンよりも速い脚を使うタイプかと思いきや、
皐月賞で見せた粘り腰は、まさにサトノクラウンといったイメージだった。
これからも、自身に似た産駒を何頭も輩出し、日本の競馬を盛り上げてくれるのではと期待している。
サトノクラウン(Satono Crown)血統表
マルジュ Marju | ラストタイクーン Last Tycoon | トライマイベスト Try My Best | ノーザンダンサー Northern Dancer |
ミルリーフ Mill Reef | |||
アーティアス Artaius | ラウンドテーブル Round Table | ||
ウェルシュページェント Welsh Pageant | |||
ロッシーニ Rossini | ミスワキ Miswaki | ミスタープロスペクター Mr. Prospector | |
ヒーローズオナー Hero's Honor | |||
ヴェットーリ Vettori | マキャヴェリアン Machiavellian | ||
パシュートオブラヴ Pursuit of Love | |||